中国某都市からアメリカ某都市へ引っ越す際、当時通っていたインター(アメリカ式)友達からは私立を勧められました。具体的な学校を教えてくれたり、インター関係者が校長先生をしている学校もあり迷ったのですが、以下の理由から、現地校を選択しました。
1、希望したところは、期中入学を受け付けておらず、8月入学一択(これ以上転校をさせたくない)
2、人気のところはアプリケーションも入学前年の11月ごろから1月上旬ですでに締め切っていた
3、募集が間に合ったところも、教育内容はいいけれど、規模が小さすぎる
4、州によると思いますが、私学はキリスト教系が大多数で、クリスチャン一家が前提のところも多い(日本のミッションスクールより厳格なところがほとんどです)
海外転勤になると、英語圏の場合、選択肢は公立一択になりがちですが、色々な可能性があります。今回は、私立、公立、インターの選択肢について、ご紹介したいと思います。
1. アメリカ駐在 private schoolの選択肢
我が家ではタイミングが合わなかったこともあり私学を外しましたが、タイミングが合う場合には私学も検討の価値ありです。入学時の英語力の心配があるかもしれませんが、入学年次が低い場合には、そのまま私学への編入も可能性はありますし、英語が慣れた段階で転校も可能です。
なお、州によって、都市によって、「私学の方が圧倒的にいいところ」、「比較的公立もしっかりしているために私学か公立かは好みによるところ」、様々だそうです。ちなみに、アメリカ人の友人に勧められたのは、物件価格↑=固定資産税収入↑=教育予算↑となることから、
①賃貸家賃や物件価格が高く学校評価も高い(greatschoolsやNicheなどの評価)学区に住んで公立に通わせるか
②物件価格は控えめなエリアから私学に通わせるということでした。
一般的な家庭でも、「物件価格は控えめなエリアから私学に通わせる」という選択肢を採っていたりするということで、驚きました。ちなみに我が家のエリアは、全体的に公立も比較的しっかりしているエリアとのことで、「私学が絶対というわけではないが、Great SchoolsやNicheを使って、通学区の確認をすること」は念を押されました。
Greatschools School Ratings & Reviews for Public & Private Schools: GreatSchools
Niche https://www.niche.com/
このあたりの情報は、もし聞ける知り合いがいなければ、不動産屋さんにも一般論として相談できるかと思います。なお、不動産屋さんは、「どこの学区が評価が高いですか?」という質問へは解答しづらい(してはいけない?)そうですが、「質問された学区が、どういう状況か」はお応えできるとのことでした。
2. わが家の感じた私立の懸念点
我が家が私学について懸念していた点は、ノンネイティブ子女の受け入れのどの程度慣れているかでした。ノンネイティブの場合、低年齢で一旦ネイティブに英語力が追いついていたとしても、学年相応の英語力とされるレベルは、当然ながら年々上がっていくので、動的目標を追いかけて、常に努力が必要となります(「バイリンガル教育の方法」より)。と同時に、母国語の向上も頑張らなければなりません。その辺りをどこまで理解されているかという心配があり、ノンネイティブ子女のフォローに慣れていそうという点では、公立の評判校の方が安心感がありました。
3. 結局private schoolへ転校
娘は2ndの学期途中で、私学へ転校させました。というのも、やはり、学習面でもう少し極細やかであったらなと思ったからです。如何せん、公立はクラス人数が多い。その中で、個人個人が進度別に学んでいるので、先生も常に忙しそうでした(学校・先生の当たりはずれもあるので、娘の学校、かつ、娘の担任の先生はという話です)。そんな中、娘は、授業の疑問点をきっちり消化したいタイプの子で、担任の先生との相性が悪かったことが大きな理由の一つです。見かけ上、英語に全く問題なくなっても、やはり新しい概念を学ぶ際、「英語で学ぶ」点で躓くことがあったので、より個別に質問しやすい人数の少ない学校へ転校しました。
4. インターナショナルスクールの選択肢
もし通学可能範囲に有れば、我が家が必ず入れただろうと思っているのが、英語圏教育がベースのインターナショナルスクールです(フランス系だと英仏の、ドイツ系だと英独のバイリンガル環境になる場合があるので、注意が必要です)。
あくまでも娘の通ったインターナショナルスクールは・・・という話ではありますが、ノンネイティブの子女の受け入れの慣れていますし、教育のきめ細やかさ、母国語の尊重、転勤によって環境が変わる子女のトランジションのフォローなど、細部にわたってきめ細やかでした。
インターナショナルスクールのトランジションフォロー
トランジションのフォローは、どこのインターでもそうだと思いますが、おそらく現地校・私学どちらよりも長けています。というのも、生徒が基本転勤族の子供で構成されているので、突然決まる転校の際の心のケアは大変充実していました。どうやって学校、お友達、先生にお別れをするか、カウンセラーと相談して子供自身に決めさせてくれて、その地を離れる心の準備を親と一緒になってサポートしてくれます。そして、そのお別れの準備は、見送る側の心も育ててくれました。転勤先で心細い一家には、子供を中心に家庭ごと包み込んでくれる頼もしいパートナーになってくれると思います。
手厚いESLサポート
それぞれの学校が定める入学時の英語レベルに到達している必要がありますが、アメリカンスクールやブリティッシュスクールと異なり、国籍などによる優先順位はないので、ESLサポートは一切不要だけれど、英語は第二言語というバイリンガル子女もそれなりにいます。したがって、英語力の向上という点では、現地校が上回るのは事実だと思いますが、その分ノンネイティブの生徒のESLサポートは、優れていました。
インターナショナルスクール時代のESLは、先生が豊富にいたこともあり、取り出し授業ではなく、ESLの先生が教室に来て、色々おしゃべりをしながら、授業のフォローをしてくれていました(実際、娘は、ESLの先生のことを、授業やランチやリセスの時に遊びにくるおじさんだと思っていました)。ですので、playground English についてもサポートしてくれている状態です。個別にサポートを受けていると意識させないサポートが、子供のイマージョンを促進するとのことでした。
授業での連携は本当によく練られていて、例えば、how to本の書き方を習う時は、①PEのクラスでESLの先生も一緒にテニスをして、事前に単語やフレーズを意識的に耳に入れる、②リーディングのクラスでは担任が「how to本とは」を教え、③ライティングの授業では、クラスを三分割し、担任とESLの先生が、テニスをした時の話を各生徒にインタビューしながら、自分で書かせ、クラス補助の1人が、editing を見るといったきめ細やかさでした。
教育の質
娘は、この各科目の一体感を学校の教育だと思っていたようで、現地校に入学して半年ぐらいは、「前はどの授業も同じゴールに向かって階段を登っていたけど、今は毎時間、全く違う階段を昇り降りしている感じで、達成感がない」と表現していました。2ndでは、授業についてそういうことも言わずに楽しそうにしているので、1stの頃のコメントは担任の運ゆえだったかな?とも思いますが、どの担任になっても安心できたのがインター時代でした。
国際性:世界の人をつなぐ言語としての英語を知る
インターナショナルスクールでは、世界各国のお友達ができ、また様々な国の文化や自然を学ぶ機会にあふれています。また、難しい政治や歴史についても、極力、様々な角度・視点から学習します(娘は低学年でしたので、高学年の親御さんから聞いた情報になります)。そんな中、ネイティブとノンネイティブをつなぐ言語としての英語のみならず、ノンネイティブ同士をつなぐ言語としての英語への気づきは、生涯にわたる英語学習へのモチベーションになるものと信じています。