これまで何が大変だったかというと、日本で学校に行ったことがない娘としては、「日本のお勉強が必要と思えない」「日本の子がどうやってお勉強をしているか知らない」「学校外で勉強をすることが普通とは思えない」ことでした。体験入学を通じた娘の変化、そして、戦争のトピックでの学校の気遣いを纏めます。
1.娘の変化
体験入学をさせていただいて、本当に良かったと思う点は・・・。
①日本で育っている子でも、毎日毎日、同じ漢字を繰り返し書いて覚えている
②毎朝の集中タイム(10分)で、プリント学習をした上で授業にはいる
③その上、毎日毎日、宿題が出て、漢字の書き取り、音読をやっている
そんなリアルな2年生の日常が見られたことです。
この経験を経て、娘の姿勢ががらっと変わりました。漢字学習、計算練習を楽しむようになりました。「日本にいる子も、一生懸命頑張らないと、身につかないのか!」と安心し、少し自信が出たようです。
もちろん、現地校が始まって、日本の学校生活が遠くなるにつれ、この興味も下がっていくとは思いますが、夏休みの二ケ月集中して、日本の勉強にキャッチアップ出来たことは大きな収穫になりました。
2. 娘が発見したクラスの気遣い
我が家は、中国、アメリカと住んでいますので、子供に戦争の話をするのは、非常に慎重にしてきました。というのも、稚拙な英語力と幼稚な理解力で、外で口にしては困る、非常に難しい問題だと感じているからです。
私たち日本人が「経験者たちが生きている間にしっかりと語り継がなければ」と思うのと同じように、中国、アメリカで出会う目の前の友達は、親や祖父母は当事者であったりします。日本人の知り合いでも、自分たちがされたことは知っていても、したことは知らない人が多くいたりします。私自身、それでモヤモヤした思いをしたことも多くあります。
ですから、子供たちには、きちんと全てを話そうと思っていますが、一方で、歴史的全体像を理解できる年齢前に、戦争被害や加害だけを極端に教えることに躊躇してしまい、戦争ものの絵本を子供に読んだり、アニメを見せることに、抵抗があります。これは、自分の幼少期のトラウマでもあります。
今、娘に伝えていることは、戦争の解釈については、
①それぞれの国にそれぞれの意見があること
②相手の国の考え方、教え方が違うからと言って、相手が間違っているというのは違うということ
③一瞬で世界を変えてしまう爆弾が日本は落ちて、それがきっかけに負けを認めることにしたこと
④今は、戦争はもうしない世界を目指しているのは皆同じであること
⑤それでも国同士の喧嘩は起きてしまうこと
少しずつ話してきましたが、まだ踏み込んだことは娘には伝えていません。
自分は、毎年夏になると、戦争ものの児童書を読んで、感想文を出していたので、今でも日本の学校教育が変わっていないとすると、娘は、年齢相応の知識や想像力がないかと思います。でも、海外にいる日本人として、この問題を理解させ上手に対処させるには、8歳はまだまだ小さすぎるように感じてしまうのです。。。
さて、一時帰国の体験学習での、図書館の時間の出来事です。図書館の本をクラスに持って帰って、クラスの本としてしばらく置いておくそうですが、その候補の中に、戦争ものの絵本があったようです。先生が「折角、アメリカから来ている子がいるから、こっちの本にしようか」と言って、他の本を選ばれたとのこと。娘は、その挿絵とニュアンスから、きっとアメリカと日本の戦争に関するものだなと思ったそうです。
このような方針を採っている親からすると、先生が海外在住児にとってのこの問題の難しさを理解して、娘にそのような配慮をしてくださり、感謝しています。そして、娘自身、その気遣いに気づいたことに、成長したなと感じました。