複数言語に囲まれる生活で、言語習得の心配をずっとしてきた息子君。家庭医に言語セラピーを紹介してもらい、2歳3か月ごろに受診しました。州によると思いますが、私が住む州では面談(約1時間半)でサポートが必要と判断されると、保険適用でセラピーのセッションが受けられます。
1. スピーチセラピー オブザベーションで何をするのか
担当してくださったのはお二人、教育心理の専門の方、言語学専門の方です。子供も緊張によりいつもと様子は違いますが、2時間近くかけるので、徐々に慣れて、おもちゃで遊びだします。
年齢にもよると思いますが、2歳過ぎの場合、例えば、指示代名詞や所有格がわかっているか、確認していました。先生が英語で聞いた後、母国語でも同様の概念があるか、母親の私に確認。ある場合には、日本語で指示代名詞や所有格を使って聞いてみて、母国語なら伝わるのか、母国語でも伝わらないのか見ていました。
例えば、「(今座っている)椅子の上に立って」「私の積み木を取って」などの指示をchairやblockという単語なしに、指示通りの動きが出来るか確認します。その後、母国語でも同じ要領で質問します。これを繰り返し、母国語ならわかっているものは、第二言語による遅れとして捉え、母国語でもわからないものをあぶり出しているようでした。
同時に、もちろん聴力やモータースキル、手足のコントロールなども確認し、発育全般に問題がないか確認します。
2.スピーチセラピー オブザベーション結果
オブザベーション中、ずーーと黙って遊んでいて、「このくらいの年齢だと、一般には、『ガッシャーン』とか、動物の鳴き真似とかするのよ」って言われて、「たしかに、この子は、いつも無言で遊んでる」とハッとしました。
面談の結果、言語は3ヶ月遅れ、コミュニケーションが5ヶ月遅れとのこと。ただシリアスな問題はなく、言われていることは、英日ともにしっかり通じているので、現時点ではサポートは不要でとのことでした。環境の変化が落ち着いて、アメリカでの生活が安定すれば、徐々に通常の成長に戻ると思われるとのことでした。
面談での発見は、これまで、言葉の遅れという表面的な部分に気をとられていたのですが、実は、言葉の遅れは主にpeer communicationの発達の遅れから来ているという根本的な原因に気づけたことです。たしかに、黙々と一人で集中することを好み、playgroundでも他の子と遊ぼうとせず、むしろ僕の陣地を邪魔しないでという感じで。。。これには親も反省する点があり。。中国→日本一時滞在→アメリカと、コロナ禍の度重なる引越しで、少しでも負担を減らそうと、下の子の交友関係はすごく狭いまま(特にアメリカに来てからの半年はまさに0。。)で来たため、peer communicationを促してあげることを全くできておらず。。ほんと反省する限りでした。
ちなみに、このpeer communicationの発達の遅れは、3歳7か月の現在も、残っているように感じます。徐々に言葉によるcommunicationが進んできて、日英差が広がり、かつ本人もその能力差を認識しだしたことで、引っ込み思案な部分がより出てしまっているんですね。言語の発達には、そういった心理的な面も大いに影響あるものと思って、公園などでは、多少言語をカバーしてあげながら、なるべく他の子とも一緒に遊ぼうとするように促しています。
3.その後
先生の見立て通り、セラピーの後すぐに、急にデイケアのお友達の名前を言い出したり、姉に「一緒に遊ぼ」と誘ったり、朝「お友達が待ってるよ」というと「行くーー!!」と言って勢いよくデイケアの支度をを始めるようになったので、たしかに環境が落ち着いて、また成長が再スタートした気がしました。海外にいると日本の保健所のような相談場所がありませんが、気になる方は、勇気を出して、家庭医の先生に相談してみるといいと思います。わが家の場合、その後、急に文章が出てくるようになり、心配は杞憂に終わりましたが、親としての気づきもあり、受診してよかったと思っています。
三言語環境で発語が遅かった友人の娘さんは、発語を促すゲームを色々とセラピーで提案され、家庭でも取り組んでいたそうです(以下、英語で例示していますが、実際には家庭の言語でやっていたそうです)。例えば、カゴにtowelなど、本人が知っているけど言おうとしなかった物ををいっぱい入れて、取り出したり戻したりしながら、「towel」と声に出していったり。洗濯物を、1人ずつに分けるときに「daddy’s socks」と口に出して一緒に分けたり。毎回毎回、せいぜい10-20分程度のアクティビティだそうです。こうした発語を促すactivityや家庭でできる取り組みを教えてくれて、症状が改善するとのことです。