日本語のように英語から遠い言語も、共有する部分があり、共有する部分については、一方の言語が他方に影響を及ぼします。今回は、いかにバイリンガル環境を負担とせず、レバレッジを効かせるかについて、纏めたいと思います。
1.言語の相互依存
本書では、言語の相互の影響について、以下のように纏めています。
- 日英両言語は比較的遠い言語であるが、相互に依存し合っており、両言語への接触が十分にあり、かつ学習動機が十分にある場合には、一方の言語が伸びることで他方も伸びる。
- 言語の組み合わせにより、相互に影響を与える領域は様々であるが、日英の場合、概念的・認知的領域が中心となる。そのほか、積極的に対話しようとするコミュニケーションスタイル、日本語という言語に対する意識の高まりなど学習姿勢への影響も見られる。
- 両言語を活用した学習、両言語を対照比較する活動などを通じて、ニ言語に触れる機会を積極的に設けることで、転移を促すことが可能となる(受け身になる必要はない)。
- 学年が上がり、読解力や作文力がついてくると、日英の場合でも、教科学習的言語の転移が見られるようになる。
- 他方の言語への理解が深まると、言語そのものに対する理解が深まり、言語分析力があがる
2. バイリンガル環境を活かすには
我が家では、「日本人コミュニティが大きくない都市の場合(補習校や塾に行かせていない場合も含む)には、どのように日本語への接触を確保したらいいのか?」について、日々意識して暮らしています。重要なのは、ただ、子供同士でお喋りしているレベルの日本語ではなく、教科学習をするときに必要となる読み書きを中心とした日本語への接触です。
今のところ以下のような補助を考えていますが、いろいろな方のブログやインスタで学びながら、トライアンドエラーを繰り返しているところです。
- 現地校の内容と母語による家庭学習をリンクさせる。また、英語に慣れてきても、母国語の高度化のためにこれを続ける
- 母語と英語、両言語で同じことを学ぶプラス面を理解させる
- 言語の対象比較を楽しむ
まず、1についてですが、アメリカの現地校、学区次第、学校次第、先生次第、(いい学区と言われる地域を選んでも)全て運です。残念ながら、娘の最初の学校は、先生とやりとりしていても、具体的に何を学んでいるか全くわかりませんでした。また子供のタイプによるとは思いますが、あまり学校のことを細かく話す娘ではないため、何を学んでいるかよくわからず。。。
今は、少人数のモンテッソーリに通っていることもあり、先生がきめ細やかに見てくれているので、親が口出ししないようにしていますが、公立に通っていたころは、アメリカの学習アプリ IXLに入り、州の学習指導内容を確認していました(娘はIXL で自宅学習していませんでした)。特に、理社については、現地校での年相応の一般知識レベルを知るために役立ちました。社会は主にアメリカのシンボルや偉人、文化が中心なので、まだまだ母国語で詳しく細かく説明が必要ですし、理科に関しては、日本より先のことも習っているので、日本の参考書も用いて細かく説明していました。
2については、二言語扱えることで、お友達が増える、お友達を助けられるだけでなく、家族で得難い楽しい経験が出来ることを本人も実感していますが、今後は、ニ言語対象になることで、どれだけアクセス出来る情報ソースが増えるのか、将来の可能性も増えるのかまで意識を広げていきたいと考えています。
3については、日本の1年生(アメリカの2nd)の頃に、嬉しいことがありました。国語のドリルで「何がどんなだ」を書く問題の説明をしていたところ、「英語のadjectiveってこと?」と聞いてきました。「転移の瞬間だ!」と感激したものです。
一方で、本来レバレッジを意識した場合、日本の漢字学習に集中するのではなく、英語のライティングと同時進行で、段落の要約などを書かせる練習をした方がいいと思っているのですが、目の前に並ぶ漢字一覧に意識がいってしまい、もう少し日本語を書くのを億劫がらずになってからと先延ばしになってしまっています。