各年齢の様子


今回は、本書に沿って、我が子たちの様子を年齢別に紹介します。


1.2~4歳 子ども部屋時代 

この時期の特徴は以下のように語られています。

・2言語に触れても、ことばの成長が遅れたりすることはないが、急激な言語環境の変化は母語の発達の芽を摘み取り、混乱を招く結果になりかねない。急激な環境変化は一時的ダブルリミテッドを誘発しかねないが、ことばによる交流が正常に戻れば自然に解消するし、一つのことばが通常に発達すれば、もう一方の言葉も発達する。

・母語の発達が脅かされない状況では、外国語に触れることも十分可能であり、日英それぞれの発話量は、英日のバランス、接触時間に比例することになり、2歳前ぐらいから、相手によって使い分けることが可能になる。

息子のケース

息子は、言語の遅れが心配で、アメリカで言語セラピーを受診しました。結果、2歳4か月時点で「運動能力は遅れなし、言語面は3~5か月の遅れ」との結果が出ました。その数字に妙に納得したのですが、1歳8か月で非英語圏から一時帰国し、ビザ手続きで約1か月半日本に滞在、そこで急に3か国語体制から1か国語に。その後、1歳10か月アメリカにきて、急に2か国語体制に。セラピストからも、アメリカでの生活が半年たって環境が落ち着けば、遅れは一気に解消するでしょうとの診断で、そのアドバイス通りになりました。これは、まさに、本書で言われていること通りで、1歳8か月からの約半年間、急激な言語環境の変化で母語の成長が阻害され、その後、生活が落ち着いたことで、言語の成長が正常化したのだと実感しました。

また、受診の際に言われたことは、日英両言語での単語数がその子の操れる言語数となるため、どうしても、バイリンガル環境の子は、話せる単語の種類が、モノリンガルの子供より少なくなるということでした。実際、息子は、会話の際に、いつまでも指示代名詞で済ませようとすることが多く、時折通じにくいことがありました。

わが家では、

  1. 下の子も滞在中に幼稚園に通うことになり環境の急激な変化が起こること
  2. (兄弟で年齢差が若干大きいこともあり)同年齢の子供との交わりも重要であること
  3. 上の子の勉強の準備など、母も一人時間が必要であること
  4. 腕白でケガの不安が尽きず、息子が家にいると全く家事ができないこと
  5. そして助けの一切望めない海外での育児はやっぱり大変で母も倒れないために休養が必要・・・

などを考慮して、1歳4か月からデイケアに通わせました。

そのため、娘のときと反対で、三歳半過ぎまで、基本的に、家では日本語オンリーで暮らしていました。読み聞かせも基本的に日本語のみ。一人遊びをして集中しているとき以外は、基本的に家族の誰かと日本語で対話をしていました。

その後、3歳半過ぎに言語能力の日英差が広がってきた段階で、初めて、おまけ程度に英語の絵本もたまには読んだり、娘の時のWKEを時折見せたりしましたが、その頃、英語補助のために導入したyoutubeのMs. Rachelまでは、ネイティブ用の子供番組は見せないできました。


2. 4~6歳 遊び友達時代 

この時期の特徴は以下のように語られています。

・2言語バランスよく接触すれば、自然に2言語を覚えるが、急激な環境変化は禁物。一時的ダブルリミテッドを誘発しかねない。しかし、ことばによる交流が正常に戻れば自然に解消するし、一つのことばが通常に発達すれば、もう一方の言葉も発達する。

・日英ともに読み聞かせが重要。第一の言葉の読み書きの力が、第二、第三の言語の基礎力になる。

・英語の習得に応じて、日本語が追いやられ、母語から継承語への移行が起こりやすい。

娘のケース

娘が最初に非英語圏でインターナショナルスクールに通いだした頃です。わが家は、日本のバイリンガル園からの転園だったので、そこまでの環境の変化はありませんでしたが、日本語で会話をする友達が一切おらず、時折、街ですれ違った親子が偶然日本語を話していると「日本人を見た!」と珍しいものを発見したような反応をしており、日本語は家族で話す言葉でしかないものとして徐々に日本語が追いやられていく危機感を感じました。

読み聞かせの量が兎に角多いので、日本語の劣化はあまり感じないで済みましたが、子供同士での会話の機会がほぼないため、一時帰国でいとこの通うアフタースクールに行った際は、「ちょっと変わったコミュニケーションの子」だったことは間違いありません。もう少し敏感なお子さんだと、「ちょっと変わっている」と捉えられていることに気づく子もいるかもしれません。また、娘の場合、もう少しこの時期が長かったら、そもそも「日本人の友達と日本語で遊ぶ」ことに興味がなくなっていたと思います。


3. 6~9歳 学校友達前半 

この時期の特徴は以下のように語られています。

・2言語育てるためには、話し合い、読み聞かせ、日本語でのコミュニケーションによる親子の絆の構築が重要。それがないと、現地語の発達とともに母語が消えていく可能性がある。英語の習得に応じて、日本語が追いやられ、母語から継承語への移行が起こりやすい。

娘のケース

娘のインターナショナルスクールの担任・ESLからは、

  1. 母国語での意義深い会話
  2. 母国語での親子のコミュニケーションによる精神的安定
  3. 学校の学習内容を母国語で深堀りすること

の重要性を再三言われており、本書のポイントと共通しているなと思っていました。子供は学校だけで学ぶわけではなく、家庭の会話を通じて、一対一、一対二でより多くの知識や知恵を吸収します。その際に、親子の会話を成立させる母語の確立、学校と家庭との連携が重要だと母は日々奮闘していますが、いかんせん、アメリカの現地校、なかなか授業内容が見えてこないという悩みがあります。。。


4. 9~15歳 学校友達後半

この時期の特徴は以下のように語られています。

・単語を取り出して覚える、文法ルールの整理、抽象的な概念を扱う言語の習得がようやく可能になる。

・読み書きの基礎ができているため、この年齢になってはじめて、言語維持が容易になる。

娘のケース

英語によるコミュニケーションや知識習得を楽しいと感じ、英語の必要性を実感していれば、自力で伸びてくれるステージなのだなと理解しています。娘には米国滞在中に、まずは、英語による勉学の楽しさを知ってもらいたいと考えています。

このステージが本格的になるのは、本帰国後になると思いますが、いろいろなリソースを駆使して、母語と同時に、英語でも抽象概念を扱えるところまで導くことを親の役目だと思って、日々頑張っています。

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