ESLサポートのあるべき姿


アメリカで現地校生活をする中で、ESLのサポートが手薄だなと感じることがあります。その話を自身のESLの先生にしていたところ、州にもよるそうですが、私の住んでいる州では、ESLの先生は、ESLを専門に学んでいるわけではなく、州の講習を追加で受けると、その資格が取れるそうです。

というわけで、同じくESLのサポートが手薄だな、一体ESLサポートってどんなものであるべきなのかなど、疑問に感じている方のために、インター時代を中心に、ESLのプロに言われたことをまとめたいと思います。


1. ESLのプロに言われたこと

①バイリンガルになるには最低でも5年

②母語での意義深い会話を通じて、思考力を伸ばす

③母語での本の読み聞かせが大切

④学年が上がるにしたがって、ノンフィクションの読み聞かせを通じた知識の拡大、深化を図ることがより一層意味を持つ

⑤学校で学んだ分野を、家庭で母語で話す

⑥一旦バイリンガルになったら完成ではない。年相応に伸ばしていく(ネイティブについていく)努力が必要

(*)新しい概念やそれに関連する新しい語彙の習得、そして、子供の視野を広げてアカデミックな世界へ繋げていくには、読み聞かせの中でも特にノンフィクションが重要だそうです。


2. ということは?

ビザの更新を考えると、駐在の任期は3-5年の方が多いかと思います。となると、駐在帯同中に完全なるバイリンガルになるケースというのはレアなのだと思っています。また、一旦その時点ではバイリンガルになれたとしても、帰国をすれば、年相応のバイリンガルの状態で維持することは難しいというのが現実です。

では、駐在帯同のお子さんが、バイリンガルを目指すのは無駄なのか?というと、そうではないと!


3. ESLのプロが考えるESLの仕事

子供は、目の前の生活が全て。目の前の学校生活に全力投球して、心の底から楽しめることが、子供の発育、自己肯定感の観点からも重要です。長きにわたるその学校生活の結果が、バイリンガルだそうです。駐在帯同という短い期間では、バイリンガルまではたどり着かないかもしれないが、その期間、お子さんが心身ともに健全に過ごせるようにサポートするのが仕事だと。

面白いことに、ESLの先生はよっぽど黒子に徹していたようです。娘は、ESLの先生のことを、授業中や休み時間によくクラスに話しに来るおじさんだと思っていました。これは、自己肯定感という意味では、ESLの先生が学習サポートをしていると悟られないようにすることも大事という配慮の結果でした。


4. インターでのESLサポート

例えばインターの1st grade のライティングの授業はどう行われていたかの一例です。「how to write」がテーマのときは・・・。

リーディングの時間=how to本を読む

PEの時間=ESLの先生も一緒にテニスを楽しみ、how to 本を書きやすいように単語、表現のインプットをしている

Artの時間=子供がテニスをしている絵を描いている時に、ESLの先生が回って、描写を言葉で繰り返す

Writingの時間=ここまでして、ようやく書く

このように全てが繋がってプログラムされていました。もちろんアメリカの現地校にこれは求められません。

でも、本来ESL対象の子が、ネイティブの子に引け目を感じずに学校生活を送ろうと思ったら、ここまでの補助をさりげなく入れてあげないといけないということです。それには現地校は生徒が多いですし、先生も忙しくて手が回りません。ですから、上記サポートの中で家庭で出来る範囲で少し補助をしてあげるのが良いのかと思ってます。


5.図書館の利用と母語での授業振り返り

図書館を利用して、簡単なもので良いので、学校で習っていることと同じテーマの本を借りて、一緒に音読し、表現を知ること、単語を明確に理解すること。そして、何より、子供の得意な母語で、授業に関連する話を、discussするんだそうです。こうしていくと、母語も伸びるし、英語では表現しきれない部分を、どうやって英語で表現しようか考えるチャンスが生まれると。ESLの先生の立場では、兎に角「母語を軸にする」必要があるっということでした。

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