下の子は、3歳~3歳二か月の頃、日本語をいう時だけ、吃音の症状がありました。おそらく専門家に診ていただいたら、吃音ではないのかと思いますが、文章を言う時、いつも簡単に言っている「パパ」「ママ」などでも、「パ、パ、パ」「ンマー、ンマー、ンマー」など繰り返すようになっていました。一番気になった点は、いつも文頭の音を繰り返しているというわけではなく、全く異なる音でどもることもありましたし、ひどい時は10秒近く続きました。なお、英語環境での息子の状況を見ると、英語ではまだそこまで複雑なことを言えていない分、吃音のような症状は出ていませんでした。今では、あれは日本語で表現できることが、一気に複雑になったタイミングだったからなのかなと思いますが、ご心配の方もいるかと思いますので、当時のことを纏めました。
1.冷静に日本語を言っている時の様子を見てみた
スライドメソッドで、英語の発音を勉強しているのでよくわかったのですが、口や舌の使い方、子音と母音の出し方などが、完全に英語優性になっていて(そもそも、音の出し方という点では、日本語の方が習得に時間がかかる)、とても発声しにくそうにしていました。
たとえば、日本語の発音でも、
・フ、ブはもちろん唇に歯が触れる
・パ行、バ行、マ行から始まる単語をいうときに、唇をキュッとすぼめる
・ハ、ヒの音がはっきり出てこず、息が漏れるだけのような音になる
・自分の名前を言う時も、最初の音の子音と母音が微妙にズレる。例 かんた → Kaんた
こうしてみると、日本語を言いながらも、舌・顎・口の使い方は、英語のような使い方をしていたのかと思います(マニアックな分析ですが)。
2.家の育児書を読み直してみる
ただ、我が家のバイブル「語りかけ育児」の3歳後半のところで、伝えたいことの複雑化に伴い吃音のような状況になる子がいるという話が載っていましたので、1言語環境でもそういうことがあるのかと、冷静に見守ろうと。途中で助け舟を出すと、キーッとなったり、本人が傷つく可能性があるので、じっくりと話し終えるのを待ちました。どもっている時は、ただただ待つことにいて、その時間の長さ、どもっているということを本人に気づかせないように心がけました。
3.2か月の一時帰国中
一時帰国に際して、親族や通園予定だった幼稚園の先生にも、事前にその状況を伝えておきましたが、3歳2ヶ月過ぎに一時帰国した際には、当初よりも落着いていたので、周りが想像していたほどの吃りではなかったようです。が、3歳なりたて時点では、相当気になる状態でした。
この一時帰国で1言語環境になったおかげか、一気にまた日本語が進み、吃音のような症候は減りました。
(2024年1月6日追記)ただ、この頃、刺激が強かったのもあってか、目をパチパチさせるチック症状のようなものがありました。年上の従兄弟たちと会って、全くお昼寝をしなくなってしまったことによる疲れか、精神的ストレスか、どちらだろう・・・と少し心配しましたが、日本にいる間、数週間で収まりました。
4.アメリカに戻った後
吃音のような症状が緩和されてアメリカに戻ったのですが・・・が、通園開始直後、数日間は、日本語を話すときに、吃りのような症状が再開😅やっぱり、3歳前後にとっては、日英の切り替えはとっても難しいことなんだと実感しました。その点、日英の区別が曖昧な子の方が、負担は少ないのかもしれません。
その後、数日で、その吃音のような症状も自然に収まりました。バイリンガルと吃音の関係ははっきりしないようですが、やはり二言語の間で行ったり来たりする環境というのは、その環境に慣れるまで、吃音のような症状が出やすいのかなとは思います。ただ、一旦、ある程度両言語の基礎が出来上がって、そのステージを卒業すれば、その後は心配ないのかな?と思っています(3歳7か月の現在は全くその症状は出ていません)。
5.息子の喋る内容を考えてみた
ちなみに、悩んでいる間、色々と息子の話す日本語について様子を見ていました。
あの頃、家では「おうちのことばで」と言って、英語の絵本を嫌がりました。姉とも英語で遊ぼうとはせず、家=日本語の場所とはっきり区別したいタイプのようでした(今でもその傾向があります)。不思議と、1歳4ヶ月から英語のデイケアに行き、日本語で遊ぶ友達は0ですが、全く英語優位になることがなく、ただ、日本語で伝えたいことが複雑になるにつれ、言いたいことを言い終えるのに時間がかかってかかって、周りが待つのが大変になっていました。
ちなみに、娘はお喋りが早く、2歳代ですでに会話で困ることが一切なく、話せば何でも通じて、イヤイヤ期も楽だったのですが、同じ頃の娘と比べると、話す内容が明らかに違いました。娘は大人でいう世間話の延長のようなことが多かったですが、息子は、観察したこと、発見したこと、因果関係の分析、一度聞いた絵本の要約だったりと、伝えようとすることが難しいように感じます。それがより一層、吃音のような症状の原因になっていた気もします。
それが、性格によるものか、性別によるものなのか。若しくは、日本語の日常会話のシャワーを浴びている時間が少なく、文語のシャワーの比率が高いからなのか、不思議な違いです。
6.最後に
今、少し吃りが気になる方も、時間が経って、日本語力が上がってくれば、自然となくなってくるかと思うので、気にしなくてもいいのかなとは思います(でも心配もわかります)。我が家も心配しては、乗り越えて、心配しては乗り越えての連続です。でも、振り返ると、少しずつ着実に進歩していて、こうして記録に残しておくのはいいものだなと思っています。